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総裁選挙(令和6年

●派閥について

 今回の総裁選挙には多くの方が立候補の意欲を示されました。まさしく派閥解消の成果だと思います。
 一方、マスコミは今回の総裁選挙にも、従来の派閥による合従連衡を当てはめようとしています。しかし、派閥解消の目指すところは、お金と人事に関わらないことです。その意味で、派閥によるパーティーの資金集めはできなくなりました。また人事も、派閥間の調整を行っていた各派の事務総長が存在自体なくなり、交渉の当事者がいなくなりました。
 すなわち、派閥から金と人事のくびきがなくなれば、残るのは考え方の近い人々の集まり、つまり政策集団です。長年にわたり気心の知れた人どうしが意見を交わし協力し合うのは当然のことで、今回のような様相を呈しているのだと思います。

●刷新感

 さて、前半戦は「刷新感」をキーワードとした人気投票のようになっています。確かに国民的人気は重要な要素の一つであり、総選挙などを考慮すれば大切なことです。
 ただ、この人気というのはマスメディアの大きな影響を受けます。先般の都知事選挙でも、マスメディアが取り上げてから急速に支持を伸ばした候補者がいました。連日テレビや新聞が扱えば知名度が上昇し、国民の関心を引き付けるのは当然です。
 また、「刷新感」を出す意味で表紙を新しくすることを重視する考えがあります。しかし、それだけでは短命内閣になりかねず、結果として国に大混乱を引き起こすことにもなりかねません。

●政権運営能力

 いま世界は、大波乱も予想される混迷の時であり、日本にとって内政・外政ともに重要な時期であることに異論はないと思います。乗客一億二千万人の巨大な「日本丸」の船長が、単なる人気投票で選ばれてよいとは、とても思えません。
 まずは、操船能力や統率力が問われなければなりません。今回に即して言うならば、政権運営能力があるかということです。政権運営ができなければ、政策を実現することはおぼつかないことは自明の理です。
 具体的に言うと、第一は官邸のガバナンスです。非常に幅広い機能を有する官邸内部を掌握し適切に動かすことで、霞が関の官庁が十分に機能を発揮する状況を作らなければなりません。さらに、党内ガバナンスも重要で、党内をまとめ政府と一体になって国会対策や国民の理解を深めるなどの政権運営を進めなくてはなりません。
 そのためには、やはり経験が大きくものを言いますし、長年の付き合いの中で人材を見極める力も重要になります。このような能力を駆使して、政権を運営し政策を実現していくことが、今の状況では最も重要だと考えます。
 このような観点から、経験豊富で優れた能力を有する林芳正氏を支援したいと思います。

●刷新の中身

 そして、刷新の中身です。何を訴え、実際に何が実現できるのかが問題です。
 すでに連日、誰がどのような政策を訴えたか報道されています。何を行うか、政策の議論は極めて重要ですが、党内の議論だけに根本に大きな違いがあるとは思えません。注目を集めるための政策ではなく、地に足ついた現実的かつ国民の理解をいただける政策論が展開されるべきと考えます。

 そして、それらの政策を実現していくには、政権運営能力が必須であることを改めて申し上げます。重要な争点の一つとして政権運営能力が取り上げられ、将来の日本に禍根を残さない総裁選挙になることを期待します。

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