「地方格差の是正」を提言
8月8日、会長を務める「首長等経験者による地方創生議員連盟」で岸田総理、松本総務大臣、自見地方創生大臣に「地方格差の是正」についての提言を行いました。この議連は、知事・市町村長および県の副知事・総務部長経験者である、衆議院議員21名、参議院議員12名の33名によるものです。
第一回の会議では、それぞれが意見を述べ、①地方間格差の是正 ②地方分権および逆分権の推進 ③若者の流出・少子化対策 ④災害対策 ⑤選挙制度改革 ⑥自治体制度改革について、以上6項目を検討し議論していくことになりました。今回の提言は、まず「①地方間格差の是正」について議論し取りまとめたものです。
●地方税収の偏在を是正
提言の第一は、偏在性の小さい地方税体系の構築です。
首都圏なかんずく東京と地方の税収の偏在は、行政サービスの大きな格差を生み、この格差がさらなる都市部への集中とりわけ東京一極集中を招く悪循環を生んでいます。そのため、地方自治体間の税収の偏在状況や財政力格差の調整状況等を踏まえつつ、地域間の税源の偏在性が小さく税収が安定的となる税体系の構築に取り組むべきとしました。
●国家公務員の地域手当の課題
提言の第二は、公定価格の地域間格差についてです。
まず国が定める介護事業者の介護報酬等の公定価格には市町村ごとの地域区分がありますが、国家公務員の地域手当に準拠しており、人口5万人以上で賃金水準が一定以上の市と、その通勤圏内の基準を満たす市町村にしか割増されません。このため、たとえば四国で適用されるのは、香川県の高松市と坂出市、徳島県の徳島市と鳴門市、阿南市だけとのことです。このことから、そもそも都市部の場合が多い国家公務員と、地域に密着したニーズのある介護事業者等の給与の在り方が、同等でよいのか検討・見直しが必要としました。
また公務員の地域手当も、東京23区との間で段階的に最大20%の差があり、このことが民間給与の地域間格差を追認し固定化させている側面もあるのではないかとの観点から、これまでの「格差反映」から「格差縮小」も重視する視点に転換し、新たな視点から見直すべきでないかとしました。
●最低賃金の在り方
提言の第三は、最低賃金の地域間格差です。大都市に若者が集中する要因の一つとの指摘があり、G7でも全国で一元化していないのは日本とカナダだけであることから、最低賃金制度の在り方について検討すべきとしました。
●健全なふるさと納税に向けて
提言の第四は、ふるさと納税の適正な運営等についてです。ふるさと納税は、地域経済の活性化や税源の偏在是正にも資する制度ですが、過度な返礼品競争など本来の趣旨からの逸脱の指摘もあり、各自治体のルール順守の徹底とともに、国においても指定基準の見直しなど制度の健全化に向けた取り組みを行うべきです。
さらに、地域間で返礼品となる地域資源の多寡も見られ、これが寄付額の格差ひいては行政サービスの格差につながる可能性もあるだけに、この是正に必要な取り組みを行うべきとしました。
以上の提言を行いましたが、一言でいえば「公的な制度によって生じる地域間格差は極力是正すべきである」ということです。
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