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党改革、NTT法

「派閥が解消し、田中角栄邸が焼失した出来事は、昭和の政治の終焉を象徴している。ガバナンスの無さとコンプライアンスの欠如が酷すぎる」とは、あるマスコミ幹部の言葉です。
 令和の時代は、昭和や平成とは大きく変化しています。Society5.0に象徴される社会・産業の大変革とともに、国民の意識や考え方も大きく変わりました。まさしく令和の時代にふさわしい「新たな政治の在り方」を築く時だと思います。
 現在、自民党の政治刷新本部では政治資金規正法の改正、人事を含む党機能の強化、党則の見直しの3項目に分けたワーキンググループを設置し、議論を深めることになっています。

●党の組織改革

 私見を申し上げれば、まずガバナンス改革ですが、派閥が担ってきた機能をどうするかです。指摘される機能は、およそ次の5つです。

(1)人事では、従来から衆議院議員の当選5回までは党による役職の希望調査がありますが、これに部会や委員会などでの活動評価、さらに育成を目的とした観点などを加味すれば、有用な人事ができると考えます。なお、当選6回以上では希望調査はありません。
(2)資金では、従来の派閥から若手への手当を党が新たに負担する。
(3)選挙支援では、従来からも個人的な付き合いで支援を依頼できたし、必要であれば党が役員を派遣するなど対応してきました。
(4)情報共有は、自民党国会議員が約380名もいるだけに、国会日程や党の方針などの伝達や相互のコミュニケーションなどには方策が必要です。情報共有にはSNSが有用であり、また現在も派閥とは異なるグループは存在し、私も派閥を超えた集いに参加してさまざまな政策や政局などの議論を行っており、若手の研修にもなっています。
(5)研修は、基本的に党で年次・テーマ別などにより計画的に行うべきです。

●政治資金のコンプライアンス

 次にコンプライアンスについて、政治刷新本部の中間とりまとめでは、まず党として政治資金規正法等の遵守を徹底するため議員による監督責任、説明責任、処分の厳格化などの党則改正、さらに政治資金の見える化などを行うとし、さらに各党との真摯な協議を経て、政治資金の透明化、公開性の向上、責任体制の確立・厳格化、逮捕後の議員報酬の在り方などについて政治資金規正法改正など必要な法整備を行うともしています。
 ただ、政党により事情が大きく異なる問題があります。公開されている国会議員関係の収支報告書を見ても、すべての国会議員が個々に提出しているわけではありません。所属政党の成り立ちや支持基盤などにより状況は異なり、選挙制度改正の議論にも影響を与えています。今後、政治資金規正法の改正とともに、選挙制度改革や国会改革の議論を行い、「令和の政治改革」を進めることが重要です。

●NTT法に関する議論

 さて、NTT法が注目を集めています。年末に自民党が政府に提言するにあたり、党内の議論は白熱しましたが、簡潔に言えば2つの意見の対立です。廃止論は、研究の推進責務と研究成果の普及責務、ユニバーサル・サービスの提供、事業者間の公正競争の確保などの規制が、NTTがグローバルに戦うには不都合であり廃止を含めて検討すべきとの考えです。一方の慎重論は、NTT法は民営化の際に懸念された課題を規制したものであり、廃止するには懸念の解消が前提との考えです。
 議論の結果、見直すべき事項は必要な措置を速やかに講じ、その他については検討を加え、令和7年の通常国会を目途に法律案を国会に提出するとの提言になりました。
 その後、総務省では審議会に諮問し、それに基づき党内でも、第一段階として研究の推進責務と成果の普及責務は廃止、外国人役員規制は緩和、さらに社名変更・剰余金処分の認可の撤廃、役員選解任の認可の緩和を内容とする改正案を国会に提出することで合意したところです。さらに今後一年をかけて、ユニバーサル・サービスの提供、公正競争の確保などについて検討します。

●フェイクと民主主義

 一方、こうした情報通信の進展への対応を議論していて思うのは、大いに社会や産業に貢献すると同時に、誹謗中傷や偽情報の氾濫など弊害も指摘されていることです。たとえば、生成AIによる画像や音声などのフェイクがさらに進展して見極めが困難になるとも予測されるだけに、真偽をどう確かめるかが重要になります。
 しかしながら、情報の真偽を身近に確認できるテレビ報道は、NHKの受信契約が79%であるとともに若者のテレビ離れにより、2割以上の人が接点を失っていることになります。これは、社会の混乱をもたらし民主主義の崩壊にもつながる由々しき問題です。NHKに限らず広範な取材網と編集機能を備える新聞・テレビ・ラジオなど優良なメディアの存在は、情報過多の時代の民主主義を維持するには必要不可欠です。今後これをどう守り発展させていくかは極めて重要な課題であり、しっかり議論してまいります。

●首長等経験者による議連発足

 また、以前に報告した「首長等経験者による地方創生議員連盟」が会員36名、当日出席25名で2月22日に発足しました。自民党所属の国会議員で知事・市町村長経験者、さらに都道府県の副知事・総務部長と副市長経験者から成ります。
 首都圏への一極集中の解消が叫ばれて久しいにもかかわらず、未だその流れは止まらず、加速する兆しすら見られます。これを断ち切らなければ、社会・経済・安全保障など我が国の将来は危ういとの共通認識の下、時代の大きな変革期にあたって地方自治体経営の経験を持つ有志議員の活発な議論を通じて、地方の活性化と首都圏一極集中の流れの解消を図ろうとするものです。
 発会にあたって、すべての出席者からさまざまな課題について発言があり、今後の活動に期待が寄せられました。会長に選出された者として、会員議員の皆さんと研鑽を重ね、所期の目的を達成できるよう提言などもしっかり行い頑張ってまいります。

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