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誤った「政治主導」を許さない (2010年5月17日配信)

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「政治主導」は政権交代におけるキーワードの一つであり、「脱・官僚」を望む国民の声は大きい。自民党の取り組みが不十分であったことは、率直に反省せねばならない。

 しかし、大臣たちの放言を「政治主導」とうそぶき、「政治主導」の実現の名の下に重要課題を矢継ぎ早に提出し、十分な議論もなく強引に推し進める姿勢には違和感を覚える。

 わが党ではこれに対し、プロジェクトチームを立ち上げ、昨年末には民主党の陳情一元化、国会改革案、事業仕分けについて、その非を指摘した緊急提言を行った。そして、さらなる検証の過程で気づいたことは、表面的な「政治主導」論議では見いだせない、わが党とはまったく異なる政治思想が、その根底に流れている可能性である。

三権分立に基づかぬ政権運営

  第1は、政府・与党一元化の美名の下、立法権と行政権を一体化させた、三権分立に反する憲法理論によった政権運営である。菅直人副総理・財務相は著書と国会答弁で「憲法に三権分立の規定はない」「政権党は次の選挙まで立法権と行政権を国民から託されている」との趣旨を述べている。また、三権分立による権力抑制の視点が欠けている点について、「任期が抑制になる」旨を述べているが、これでは任期中には何ら抑制がないことになる。わが党は、三権分立に基づかない政権運営や機構改革を認めるわけにはいかない。

 第2は、提出法案で定義すらできなかった「地域主権」との用語で、実現しようとする地方政府論である。民主党は、基礎自治体に中心を置き、基礎自治体の要求に沿って権限移譲を進めようとしている。だが、「地方政府基本法の制定」方針、さらに民主党の政策に色濃く反映されている松下圭一理論にある「市民の自治による共和」の思想などを見れば、権限移譲が主権にまで及ぶことが懸念される。わが党は、憲法の定める国民主権の下で、地方にできる限りの権限を移譲する「地方分権」を積極的に推進する立場を堅持する。

 以上のように、民主党の政治主導に安易にくみするわけにはいかないが、政権交代を奇貨として真の政治主導を実現すべく、反省を交えながら、わが党も積極的に取り組んでいく。

公務員の自律性求める制度を

 まずは、政治と行政の関係である。政務三役による指揮体系は踏襲すべきだが、官僚を屈服させ、萎縮させている現状は誤った政治主導である。官僚の能力は大いに活用すべきであり、そのために公務員の政治的中立性を守り、自律性を求める公務員制度が求められる。

 次に、政府と与党の関係である。政府・与党一元化は、英国特有の制度との指摘もあり、また議会の行政監視機能の低下、入閣した議員しか政策立案に参画できず、与党議員の活動が制約されるなどの欠点がある。一方の政府・与党二元化による事前審査は、与党議員を通して地域や産業界などの意見を政策に反映できる点は評価されるべきだ。ただし、「族議員」への大きな批判があっただけに、その跋扈を許さない政治資金規正法の強化策などを講じる必要がある。

 政治と行政、政府と与党だけでなく、真の政治主導にはさまざまな課題がある。今後も、国民の声を聴き、国民が納得する真の政治主導を実現すべく懸命の取り組みを進めていく。誤った政治主導で、思わぬところに行き着いてしまわないためにも、参議院選挙は絶対に負けられない。
(22年5月13日付「フジサンケイ・ビジネスアイ」掲載)

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