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「森友問題」の誤解(2018年6月25日配信)

 18日の大阪北部地震で大きな被害が生じました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。早々に自民党でも現地に入り、政府与党が一丸となって復旧に務めて参ります。

 さて最近の世論調査でも、森友問題は十分に解明されていないとの意見が70%を超えています。米朝首脳会談をはじめ技術革新など世界が激動している時に、2年間にわたりこの問題が国会論戦の中心であることは、情けなくかつ由々しい事態です。
 そうした中で3月27日、予算委員会で佐川氏を証人喚問した際、森友問題について時系列に沿って整理して質問し問題点を明確にしました。あらためてご紹介し、ご理解を得たいと思います。

【1】土地取引の協議開始への影響

H25.6.28
森友側が近畿財務局に土地取得を検討している旨を伝える。
H25.8.21
森友側が大阪航空局に、H35年頃までの貸付とその後の購入希望を伝える。
これに対し大阪航空局は貸付検討の意向を示し、本省理財局との相談の結果、貸付を検討する方針が指示される。

*ちなみに森友側が、打ち合わせで昭恵夫人の現地訪問に言及したのは8カ月後のH26.4.28であり、協議開始への影響は考えにくい。

【2】貸付協議への政治家等の影響

H27.1.9
財務局が森友側に、貸付料の概算額を伝える。
H27.1.29
平沼赳夫議員秘書から、財務省に「概算貸付料が高額であり、何とかならないか」と相談があり、これに対し財務省は「価格についてはどうにもならない」旨を説明。
H27.2.17
鳩山邦夫議員秘書から同趣旨の相談があり、近畿財務局から同様の説明をした。
H27.3.13
森友側と貸付料の見積もり合わせ(入札)を実施するが3回不調。
H27.3.26
森友側が土地が軟弱地盤だとして貸付料の減額を要請。
H27.4.28
短期貸付けと長期貸付け・売却では建物の重量や大きさが変わり、地盤の評価も変わることで合意し貸付料を減額。

*昭恵夫人付の谷氏への籠池氏の手紙は、貸付料決定6カ月後のH27年10月で、財務省の回答も実質的にゼロ回答であり、貸付料の合意に政治家や昭恵夫人の関与はなかったと言える。

【3】貸付契約から土地売却への変更

H28.3.11「新たなゴミが見つかった」ことで状況が変化。
以降
○国が事前に森友側に交付した資料では想定し得ないレベルの地下埋設物が発見された。
○森友側の代理人弁護士から、校舎建設が遅延しないよう国によるゴミ撤去を要請されるが、大阪航空局は即座の対応は困難と回答。
○森友側から、現実的な解決策として、早期の土地買受による処理案が提示される。
○財務局と大阪航空局で今後の損害賠償等の可能性を含め協議の結果、提案に応じ価格提示を行うこととした。

*政治家や昭恵夫人の関与でなく、開校の遅れを懸念して双方ともに早期の解決を望んだ結果、約3カ月で合意に至ったもので、双方の思惑の一致こそが「神風」になった。

【4】ゴミ処理費用は適切だったか

森友問題の本質ですが、地中のことで完全な答えは見出し難いのが現実です。
[比較事例]
・大阪航空局のボーリング調査をもとに、敷地の60%のゴミ処理費として約8.2億円を提示。
・森友側の見積額は、敷地の100%のゴミ処理費用で約9.6億円。
・豊中市が給食センター用地に購入した近隣の土地は、土地代7.7億円、ゴミ処理費14.3億円。

*地中のため正確な算出は難しいが、一帯の土地は地中に膨大なゴミ等の埋設物が存在すると想定され、巨額の処理費が必要と見込まれる。同時に、タフな交渉と損害賠償等さまざまな状況を踏まえた価格と思われ、不当に安価と言えない。

【5】財務省の文書改ざん問題

・公文書の改ざんは言語道断であり、再発防止対策に全力で取り組まねばならないことは論をまたない。
・今回の財務省文書が、そのまま開示されていれば、かえって上記のように政治家や昭恵夫人の関与がなかったことが明白であったと思われるだけに、改ざんが行われた理由は財務省自体の問題であったとしか思えません。

 以上の5点に整理すると、残された課題は、本来森友問題とは関係のなかった公文書管理をどうするかということです。
 問題の本質についての議論と時系列的な整理を冷静に行うことなく、推測に基づいた報道や議論がなされた結果、2年にもわたる時間の浪費と政治や行政に対する不信感だけが残ったことになり、誠に遺憾です。

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