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国家公務員給与問題(2011年12月5日配信)

■■■    国家公務員給与問題    ■■■

 国家公務員給与の削減問題が、会期末国会の重要課題となっています。そのため異例なことですが、この問題について衆議院総務委員会で2回続けて質問しました。

●今年の人事院勧告について
 例年は「憲法にもとづく人事院勧告」が出されると、政府は人勧に沿った国家公務員の給与の改定法案を提出し、12月の賞与に間に合うよう国会で成立させて給与を確定します。しかし今年は、政府が国家公務員給与を課長級10%、課長補佐・係長級8%、係員5%の平均7.8%引き下げる給与特例法案を6月に国会に提出したため、政府案と人事院勧告の扱いが問題となっています。
 今年の人勧のポイントは、次の二つです。
 (1)高年齢者の給与を引き下げる一方、若年者の給与は維持し、総額で給与を平均0.23%引き下げる。
 (2)平成18年の給与大幅引き下げの緩和策である経過措置を廃止する。

●人勧を無視する民主党の思惑
 これに対して政府は、特例法案の7.8%に人勧の0.23%は内包され、また緩和策廃止により政府案を大幅に上回って削減される者が出ると主張し、特例法案にこだわっています。
 しかし、この人事院勧告を実施しないと次のような問題が生まれます。
 (1)俸給表が改定されないため、退職金が減額されず年代間の給与格差も解消されない。
 (3)経過措置が続き、若年者の昇給が抑制され、給与のゆがみが是正されない。
 (3)特例法案は2年間の時限法であり、この間の人勧にもとづく変化が反映されない。
 (4)人事院勧告は労働基本権の代償措置であり、無視すれば違憲の可能性、訴訟リスクがある。
 これらのデメリットにもかかわらず政府案に固執するのは、政府・民主党が特例法案の提出にあたって、支持団体の連合系労働組合と以下の点について合意したためと見込まれます。
 (1)労働基本権を認める国家公務員制度改革関連4法案とセットで成立させる。
 (2)東日本大震災の財源とする。
 (3)自主的労使交渉によって合意が成立したものとする。
 (4)地方公務員へは波及させない。
 すなわち政府も連合も、「自主的労使交渉により公務員の給与を決定した」と既成事実化したいために、人事院勧告を無視しようとしているのです。しかし、公務員の労働基本権を認める法律が成立していない現状では、違憲の指摘を免れません。

●復興財源という矛盾
 本来、民主党はマニフェストで「国家公務員の総人件費2割カット」を謳っており、今回の給与臨時特例法もその一環として行われたものと思われます。率直にそのままの考え方であれば、国家公務員給与の引き下げの問題でした。
 しかし政府は、労働基本権問題を覆い隠し、世論を背景に国会成立を容易にするために震災復興財源の名を借りました。そのため、地方公務員など他の公的セクターも復興財源に協力するのが当然との世論になりましたが、地方へ波及させないとの労働組合との合意があるため、政府・民主党は簡単には受け入れられません。
 さらに、特例法案は2年間の時限法のため、恒久的措置とする民主党マニフェストの総人件費カットにも含まれないことになります。
 このように政府案は、復興財源としてもマニフェストとしても矛盾をはらんでおり、公務員給与問題は民主党の動機不純、姑息なやり方が生んだ一連の混乱劇であり、民主党と労働組合の関係が色濃く反映された問題と言えます。
 一方、自民党、公明党の両党では、政府案への対案を出すことで合意しました。あくまでも現行法を守り、人事院勧告を実施し、その上で復興財源のため公的セクターの皆さんにもご協力をいただく姿勢で取り組むこととしています。
 金曜日には、自公民三党の政調会長会談の結果を受け、三党実務者会議を公明党から西博義議員も参加される中、行ったところです。続けて5日の月曜日にも会議が行われます。

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